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■井出正人著『満天星』より その7 -山村川内の幕末史 惣兵衛の口伝 その2-

 短い惣兵衛の口伝。いわば山村川内の幕末史が凝縮されている部分だ。

『 井出正人著『満天星』より その7 -山村川内の幕末史 惣兵衛の口伝 その2-

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 当日はむされるような暑い日だった。
昼下りけが人や婦女子、老人達落人が棒にすがり、肩を寄せ合うようにして三々五々、足をひきずりながら我が家に入ってきた。平のお姫様が亡くなったといいう。驚き大急ぎで栄仙医師を呼び診て頂くが如何ともし難し。

 当夜は十数名が我が家と隣の幸七宅(後裔者、猪狩心六)へ泊る、粥を煮て振舞ふ。長福寺へ通報し寛洲和尚と平の藩士数名来て頂きお経をあげお通夜をする。本当に哀しい夜だった。

 明けて十七日、裏山の墓地に埋葬し、自然石を墓とし、香花を供へ、供養する。皆様方は数日我が家に泊る。 』

 史実のみが淡々と語られているのだが、一節だけ惣兵衛の気持ちが述べられている。それは「本当に哀しい夜」というところだ。井出家の人々は、この惣兵衛の篤い情を代々引き継ぐのだった。

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