代表の自由研究・・・トライポロジー(摩擦学)

 ごく一部の人だけに好評の、ときどき代表の自己満足について書く車や技術に関する話題です。

 この前のエンジンオイルとフィルターの実験に対して、「5万キロメートルもオイル交換しないのはマズイのでは!?」とか、いろいろなご意見があった。こういうところに書いていながら無責任といえば無責任だが、これはあくまで代表の趣味の話なので、良識あるみなさんは決してマネをしないでくださいネ。自分でトライする場合は自己責任でお願いします。

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 とお断りしてから、自由研究の続きです(笑)。
まず、エンジン内のオイルとフィルターの特性と役割について簡単におさらいしてみよう。
 エンジンオイルは、エンジンの潤滑と冷却が目的だ。潤滑しているところとは、エンジン内で回転しているところと摺動しているところ。つまり、エンジンの中で動く部品全部だ。同時に、摩擦で発生した熱をオイルが冷やす。おかげでエンジンが滑らかに動き続ける。
 
 一番熱くなるのはガソリンが燃えるピストンとシリンダーとヘッドだ。ガソリン燃焼で発生した熱がヘッドとシリンダーとピストンに伝わり、そこにオイルを循環させることで冷却するのだね。最近は、水冷エンジンと呼ぶ水でも冷やすエンジンが主流になっている。もちろん代表のアクティトラックも水冷エンジンだ。

 エンジンオイルは、このような厳しい環境で酷使されても大丈夫なようにたいへん高性能にできているわけだが、使われているうちにだんだん汚れてくる。すると潤滑と冷却の機能が低下して、エンジンが焼付いたりするトラブルにつながってしまう。それで、安全をみて、だいたい1万キロメートルから1万5千キロメートル走ったら、新しいエンジンオイルに交換するように推奨されているわけなんだね。

 ところで、エンジンオイルが汚れる原因は何かというと、エンジンの熱で焦げるとか油の分子が千切れるとかいろいろあるんだが、エンジンの中で金属が削れて出た摩耗粉の影響がもっとも大きいと、代表は推測している。ザラザラした粒が動く部品の間にあるとヤスリと同じ原理で部品が削れる。摩耗粉が増えればもっと削れる。それでオイルが汚れ摩擦もさらに大きくなり、一気に劣化するんじゃないか?と思っているわけだ。

 車がまったく摩耗粉のことを野放しにしているわけではなくて、必ず、金属粉やゴミを補足するためのオイルフィルターという部品が付いている。オイルフィルターが全部のゴミを取ってくれたらトラブルは出ないはずだ。

 写真は、代表のアクティトラックで5万キロメートル使ったオイルフィルターを分解したものだ。

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 組み立てて構造を見て見よう。

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 ゴミを含んだエンジンオイルは①から流れてきて②のフィルターを通って(ワンウェイになっていて逆流しない)エンジンの内部へもどる。②のフィルターでゴミを濾過してオイルだけがエンジン内を流れるしくみだ。③のスプリングは、フィルターが目詰まりしたとき用のリリーフバルブの構成部品だ。

 しかしこのフィルター、オイルが通るということは穴が開いている。だいたい2、30ミクロン大のゴミは通過してしまう。たかが2、30ミクロンと侮るなかれ。水の滴でも百年落ち続ければ岩に穴を穿つものだから、高速で動く部品の狭い隙間に小さな金属粒があれば鉄だって削れる。オイルフィルターだけではエンジンオイルの汚れと、汚れによる摩耗を防ぐのは不可能だってことだ。

 エンジンの中で動いている部品の材料の中では鉄がもっとも硬い。だから、鉄のスラッジを除去できたとしたら摩耗は少なくなるだろう。アルミと銅のスラッジは流れてしまうが、柔らかいアルミと銅で硬い鉄を削るには時間がかかるはずだし、アルミの部品と銅の部品同志で擦れたとしても、それほど磨滅はしない。いずれにしても、鉄粉よりははるかに影響が少ないはず。

 という仮説の下に、オイルフィルターに強力な磁石を貼ってすべての鉄粉を吸着させたら、うまくいけばオイル交換の費用が浮くし、エンジンの寿命だって延びるだろう、というのが代表の目論見だ。ご理解いただけただろうか?

 さあ、改めて分解したオイルフィルターを観察してみよう。
ネオジを貼ったところに、細かい粘土みたいになった鉄のスラッジが固まって付いていた。

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 予想通りだ。

 フィルターの上流側に、たくさんのアルミのスラッジと、少量だが、剥離したような平たいアルミの欠片が引っかかっていた。

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 ふーん。スラッジの堆積は予想通りだが、9万キロメートルも走ったのにいまだに欠片が出るもんなんだね。これは新発見だ。

 ところが・・・、オイルを抜いたときにあった砂粒が出てこない。っちゅうことは、砂粒は流れずにオイルパンの下に沈んでいただけで、エンジンの中を回っていなかった、ということだね。っちゅうことは、ですよ。エンジンの異音の原因は、少なくとも砂粒ではなかった、という結論になる。

 じゃ、何が原因なんだろう?わからない??20ミクロン以下の砂か何か???もっと詳しくオイルを分析すればよかったなぁ・・・。また5万キロメートル走って、再発するのを待つしかない。そういうわけなので、続報はまた5年後ということで!(笑)。
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コメント

CCSCモデル
某特殊鋼メーカーの有名なS-MAGICを開発した博士によると、オイルはナノレベルのダイヤモンドになり部品を引っかくのでオイル交換が必要になるとのこと。目から鱗の理論だ。
これでしょ?
島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。

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