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「佐藤忠良展」・・・川越市立美術館

普段あまり通らない初雁球場と川越市立博物館の間の道を通ったら、川越市立博物館の壁に「佐藤忠良展」の大きなポスターが見えた。佐藤忠良は、舟越保武と並んで日本の彫刻家の双璧であった。
まさか、ここで佐藤忠良の作品が見られるとは思っていなかったから、喜び勇んですぐに車を駐車場に停めて美術館に入った。

川越市立美術館
実は、代表が、最初に知ったのは舟越保武のほうで、後に、船越保武の友人であり、またライバルでもあった佐藤忠良を知った。それぞれの作品は、写真で見ただけだったが、共通する強い精神性に強く惹きつけられた。特に、舟越保武を知るきっかけになった「長崎26殉教者記念像」は、いつ見ても、言葉に表せないほど敬虔な気持ちになる。
代表が最も好きな作品のひとつだ。

【長崎26殉教者記念像 舟越保武】
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佐藤忠良の作品は、思っていたよりもザックリした仕上げで、粘土を撫でた跡や、指紋までが残っていた。こちらを見つめる目も、瞼の輪郭も明瞭ではなく、眼球などは凸凹であった。それなのに、少し離れてみると、まるで命があるように活き活きとして見え、白人の瞳は、碧く輝いているようにさえ見える。

佐藤忠良展

代表は、「ああ、こういうことなんだ」と、ちょっと理解できたような気がした。つまり、ギリシャの古代彫刻のように、肌のスベスベした感じや、衣服のヒダヒダまで表すのもひとつの表現手法には違いないが、そこには、想像を許さない絶対の完成度がある。でも、その技術に驚くばかりで、それ以上はない。

しかし、佐藤忠良の作品は、見ることが考える世界の入口になるように創られているように思える。作品のいたる所に、見る側の想像力をうまく引き出す暗号のようなものが埋め籠められている。精神性。。。それは作品側にあるのではなく、見る側から引きだされるものであって、舟越保武の作品にしろ、佐藤忠良の作品にしろ、それを刺激する「何か」がある。見る側は、作品を見ることで自分の内面と向き合う。その「何か」は、指の跡であったり、ポーズであったり、ネーミングであったり、未完成にも見えるザックリした質感、ということなのだろうが、そんな単純な、形や技術のことではないような気もした。

この「佐藤忠良展」は入館料500円。この料金で、50点の作品とデッサンも見ることができる。しかも、相原求一郎や、川越市にゆかりのあるアーティストの同美術館の所蔵作品も見られる。
今回見て、大満足。ほんとうに良かった!

ひとの駅の入館料はもっと安くて200円。良心的な料金でしょう!?

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