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ひとの駅朝市中止のお知らせ

5月から11月まで、毎月1回の開催を予定していた朝市を、中止することにした。

朝市を始めたのは、季節のよい時期に、野菜でも山菜でも自分の作品でも骨董でも、とにかく何でも自由に売り買いできる場をつくって、川内村の素晴らしさと、ひとの駅のことを知っていただくきっかけにしたかったからだ。

朝市お手伝い
昨年の朝市は、出店が10店程度の小さいものだったが、店を出す人や買う人が、多いときも少ないときも、それなりに楽しむことができたと思う。
地元の人は、余ったら捨てていた野菜が、充分商品になることに気づくことができたし、それまでは厄介モノだった古い農具なんかが、骨董として価値のあることもわかった。田舎の価値を具体的に体感できるようになり、自信になった。手間をかけた良い物が選ばれる、本物の価値を認識する場でもあった。
新しい交流の機会の手応えを感じ、このまま続けたなら、田舎と都市部の接点として、いつかきっと魅力的な朝市になれたに違いない。

朝市お客さん

もちろん、不安がなかったわけではない。
まず、出店するひとに来ていただかなければ話にならないから、朝市の責任者でもあり山の幸直売所の責任者でもあるシュンペイ君を中心にして、毎回あちこちに連絡して参加者を募った。おかげで遠方から来て出店される方もあったが、そんなときに限ってお客様が少なかったり、あるいは、その逆だったりで、なかなか思うようにいかなかった。

期待を裏切ってしまうことが多かったかもしれない。
でも、それも勉強のうち。こんな、廃校になるくらいの山の中の僻地で、まったく新しい市を定着させようというのだから、そう簡単にいくはずがない。
多くの方々のご協力と暖かい思いいやりを感じながら、「とにかく三年は頑張って続けよう」と、みんなで話し合っていた。山の幸直売所だって、軌道に乗るまでに10年かかったんだからね。

朝市実行委員長

状況が変化したのはつい先日だった。
川内村観光協会から連絡があり、かわうちの湯の駐車場に建築中の建物が、村民が利用できる売店施設になることが明らかにされたのだ。そして、ひとの駅事務局長は、協力を打診された。
事務局長は、ひとの駅の美術作品を展示することはできないので、自分の作品を置いて店の雰囲気づくりに貢献しながら、ひとの駅の案内を掲示することにした。競合する朝市は中止。代表は、その判断を尊重した。

「山の幸直売所」から「あれ・これ市場」へ。さらに、「ひとの駅かわうち」へ足を運んでいただく。
あるいは、その逆の流れで、川内村をできるだけたっぷり楽しんでいただけたら良い。
月一回とは言え、三ヶ所で同じことをやっていたらお客様は迷う。それよりも、それぞれの特徴を発揮して、それぞれが魅力的な拠点となるほうが、お客様の選択肢が増えることになって、いっそう喜んでいただけるだろうと、そういうことだ。

というわけで、期待してくださったみなさんにはたいへん申し訳ありませんが、今年のひとの駅朝市は、発展的に中止とさせていただくことになりました。どうぞご理解ください。

ただし、ひとの駅での直売を希望される方は、引き続き自由にひとの駅をお使いいただいてかまいません。
開館日はいつでもOKですので、ぜひご利用ください。

朝市と代表

ここまで書いて、今思い出したのは、代表が30代のときに数ヶ月過ごしたイタリア東部の小さな街、ランチャーノのこと。この街には、キリストの聖体がある『奇跡の教会』があり、敬虔な信者が世界中から巡礼に訪れる街でもある。当時、人口3万人ほどのこの小さな街の、一番高い丘の上に、毎週日曜日の早朝、朝市がたった。朝まだ暗いうちから、車のエンジン音が古い中世の家の石壁に響いて、明るくなるころにはそれほど広くない道の両側に、どこから来たのかと思うほど夥しい露天がびっしりと並び、地元の買い物客や観光客で溢れるのだった。やがて人々が教会へ礼拝に出かける9時を過ぎると、朝市はたちどころに消え、それまでの喧騒が嘘のように、一瞬にして静けさをとりもどした。それは一年中、毎週日曜日毎に繰り返されてきた街の歴史なのだった。

ある日、海外から巡礼に来たとおぼしき老婆が、朝市の風景を前に佇んでいた。そして、願い事を祈るように両手を合わせて頭を垂れ、それを終えて、また、朝市をまじまじと見入っていた。その姿が、自然でやわらかくて懐かしくて、とてもいい感じなのであった。
あのときの老婆は朝市に何を見ていたのだろう?おそらく、観光的な風景ではなく、信仰的な動機で朝市の風景と向き合っていたのだ、と代表は思っている。イタリアの小さな街の小さな朝市は、宗教的であり、生活そのものであった。

ひとの駅の朝市もそんなふうにしたかった、と思う。しかし、その役割は「山の幸直売所」と「あれ・これ市場」に委ね、代表も精一杯応援することにしたい。
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