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さがりんこ

川内村を出てから長く、もう山のカレンダーを忘れてしまっている。
さがりんこが熟すのはいつ頃だっただろうか?(「さがりんこ」の「が」の発音は「ガチョウ」の「ガ」と同じ。)

うぐいすかぐらの実1

さがりんこは学名をウグイスカグラ(鶯神楽)というそうだ。皇居の中にもあるらしい。語源ははっきりしていないとのことだが、字そのままだとするとウグイス用の小さな神楽の面をイメージしているのかな。いくらウグイスでも神楽にしては小さすぎる気もするが、色は神楽の面にふさわしく鮮やかに赤い。ウグイスがこれをつけて神楽を踊っていると想像すると面白い。味はほのかに甘い。わずかに舌先で感じられる程度の控えめで上品な甘さ。その狭いレンジの中で、こんな小さなにひと粒ひと粒の甘さがぜんぶちがうのだから驚いてしまう。なる木や実の大きさや熟し加減で変わる。子どもの頃はよく山へ入って食べたなぁ。
田植えは5月中旬ごろで、田植えが終わって1、2週間五月晴れが続いたあとに梅雨がやってくる。するとかならず東風(やませ)が吹いて冷たい雨を降らせた。それがいやになるほど続くこともあったし、2,3日で暖かさがもどることもあったが、さがりんこを食べたのはそんな梅雨の季節の晴れ間のことじゃなかっただろうか。

代表くらいのベテランになると遠くからでもさがりんこの木を見分けることができた。ありそうな場所と、葉の色でわかるのだった。実は葉の下に隠れていて遠くからは見えない。川内村での呼び名のとおり、さがりんこ。つまりかわいらしく葉の影にぶら下がっている。近づいてルビーのような真っ赤なつぶつぶが葉の間からのぞくと嬉しくて、それはそれは興奮したものだった。小さなさがりんこを盃一杯くらい集めるのは容易ではなかったが、苦労して集めた3、40粒ほどを口いっぱいに頬張ったときの至福は忘れられない。

たしか、林に射しこむ光線がが体を包んで梅雨明けの近さを告げていたっけ。そうだ、さがりんこが熟すのはもうすぐだった。嗚呼、いまいちどこの手のひら一杯のさがりんこが食べたい。

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