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遠投20メートル

 26日に練習試合があるので、代表はひとり近くの公園グランドで練習をしていた。夏休みで帰省している学生が多いため大学には練習できるほどメンバーが集まらない。ひとりで練習するしかない。代表はまだ遠投20メートル、50メートル走8秒オーバーレベル。せめて遠投は30メートル超、50メートル走8秒フラットくらいにしておかないと練習でさえお荷物状態だ。

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 暑い日の昼下がりのこととて、グランドには代表と体操着を着て屈伸したりしている老人とたった二人しかいない。貸し切りだ。サンダルを脱いで裸足になると、立っていることができないくらい土が熱かったため、代表はバックネットの影のところを選んで壁投げを開始した。

 すると、屈伸していた老人に「キャッチボールやりますか!」と声を掛けられた。思わぬ展開に返答に困っていると、愛用車らしい自転車のカゴから手品みたいにヒョイっとグローブとボールを取り出した。驚いた。

 老人の軽やかなフォームから放られたボールは、美しい回転の伸びのある速球だったので更に驚いた。軟球なのに手の平で捕球すると痛いくらいだった。農大のチームメイトに硬式野球経験者が何人かいるが、彼らの投げるボールと遜色ない。この老人は一体何者なのか? 

 老人は70歳前後に見えたが、高校時代には甲子園に行けるレベルのチームで投手をやっていたことがあったそうで、今は還暦野球チームで投手をやっている、と話した。当然の流れとして代表も誘われたが、遠投20メートル、50メートル走8秒オーバーでは通用しないことはわかっている。それに、もうこれ以上やることを増やすことは無理なので、この老人のような人たちと泥だらけになって野球ができたらどんなにか楽しいだろうと思ったが、断った。

 20分くらいキャッチボールを続けて、代表が疲れてきた様子を見てとると、老人は距離を縮めて終了の合図を送ってきた。代表も近づいて終わりにした。汗だくになり、汗の粒がグランドの土にポタポタ落ちた。が、楽しかった。

 老人は「もっと中指を使った方が安定しますよ」とアドバイスしてくれた。代表の球はシュート回転するために右方向に逸れがちになるのは自分でもわかっていた。

 なぜそうなるかもわかっていた。ボールにかけた人差し指と中指の2本の内、人差し指だけでボールを押しているからだ。長い中指で最後まで押した方がボールが真っ直ぐ安定して強くもなるのだが、その反力が肩にくる。代表は小学校の時に肩を壊している影響で今でも中指を使った投球はできないのであった。さすがピッチャー。ズバリ代表の弱点を指摘した。

 代表も時々試してはみるんだが、まだ肩にピリッと痛みが走る。治っていない。だから人差し指を使い肘だけで投げることになり、そういうわけでどうしてもボールが右方向に逸れ、遠投20メートルなのだ。

 20メートルなんて遠投とは言わない。30メートルでも同じだが、それでも野球がやりたい。ピッチング練習をする老人の横で、30メートルを目指し肩の痛みを我慢して中指を使った投球練習を始めた代表なのだった。
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HD損傷でPCデーターを無くしてしまいましたので、八木澤さんのメールアドレスを教えてください。私のアドレスは昔のままです。芳子の子供が45日前かがバイクで日本一周の旅を行っていて、10月中旬ごろ戻ってくる予定です。ライダーとして、これから色々と指導していただきたいと思っています。

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