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カラスの勝手

 親父は自分勝手な人間で、自分に都合が良いように考え自分が好きなように生きることしかできない。この世界は親父のためにあり、他人の理屈は一切受け入れることはしない。それが親父の強さの源である。

 こういう人格というのは、親父が育った茨城県の大子町とか暮らした川内村という狭い社会内において形成された部分もあるにはあるだろうが、大部分は持って生まれた性格だろう。持って生まれたものだから、世界観がぶっ壊れるような経験でもしない限り変われない。親父がこの世に生を受けて80有余年。その間に様々な大きな出来事があったはずなんだが、不幸にして親父の我を破壊するまでには至らなかった。従って、今ここにこうして自分勝手なままの親父が存在している。

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 しかし、さすがの親父ももうダメだろうと思ったことが何度かあった。
一度目は震災直後の入院。震災の後の全村避難に逆らって村に残った親父は、毎日家の中でテレビを見て過ごしていて風邪をひいて体調を崩し、最後は背中から腰を痛めて船引町の病院に入院した。この時親父は完全にボケた。記憶が曖昧になって肌は死体の色になった。もうだめだろうと代表は思ったが、毎日の看護婦さんとの喧嘩で気力体力を蓄えて復活した。

 その次は屋根から落ちて腰骨を折った時。この話は前に書いたので詳しくは書かないが、たまたま長女が川内村で暮らしていてその場にい合わせたラッキーもあって一命を取り留め驚異的な回復力で再び甦った。

 そして、このお盆前のことだったが、代表が休める夏休みに合わせて土地の登記関係をやっておくことになっていて、必要な書類その他の準備について電話で頼んでおいたところが、全くやれていなかったのである。しかも、「そんなことは一言も聞いていない」と言い張った。そんなはずはない。代表がメモを取るように言って、親父は電話を聞きながらメモったはずだから、いつもメモをとるところを見たら書き込みがあった。ほれ見ろ!と言ったが、それでも親父は「思い出せない」という。顔には張りがなく、半袖の下着から出た腕は艶が無くて枯れ枝のようだった。今度こそダメなのか、と代表は思った。

 登記関係を済ませて一回埼玉に戻り、お盆に予定している二年振りの兄妹会のために11日に川内村に行くと、頬っぺたを紅潮させて活き活きと草むしりをする親父の姿があった。先日のボケが嘘だったみたいにシャキッとしている。また復活したんだな、と代表はわかった。代表が来ても復活しないくせに、代表以外の兄妹や孫が来ると復活する。喧嘩の興奮や家族が集まる機会を復活のために利用している。ボケたらまた集まらないといけない。どこまでも自分勝手な親父だ。
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