星になった同級生

 ハイキングの後は代表ん家で、今は日が長いから夕陽を浴びながら宴会を開始。宮城県南部に住んでいるケンジ君も合流して、総勢9人になった。にぎやかだったよ。

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 M君とケンジ君は同じ卓球部。二人とも陸上部では棒高跳びをやっていた(当時の双葉郡で正式な陸上部があった中学校は少なく、陸上大会が近づくと運動部から選手がかき集められて臨時で陸上部を結成した)。 一方、代表とケンジ君はプロレスが趣味で、休み時間になると少し発達障害がある同級生を教室の後ろのスペースに連れ出しては技を教えていた。代表たちの年代は障害がある生徒も同じ教室で学んだため各クラスに2、3人はそういう生徒がいた。

 K君もそんな中のひとりで「代表とケンジ君はよくK君とプロレスしてたよねー」なんて話題になったんだが、せっちゃんの話しでは、そのK君の名前が広報のおくやみ欄にあったというのである。
 K君は、中学卒業後、地元の土建会社に雇われて、会社の一角の宿舎に住んで面倒をみてもらいながら現場仕事をしていた。よくかわうちの湯で一緒になった。毎日の晩酌とたまのパチンコが楽しみと話していたが、代表や中学時代のことを覚えているか?と聞くと「覚えていません」といった。いつもニコニコして、体のどこかが悪いというようには見えなかった。

 しばしK君の思い出話になった。ケンジ君がK君を羽交い絞めにし、代表はK君の胸めがけ空手チョップをみまい、上体が反り返ったところでキンタマをつかむ。そのたびにK君はオーバーに「オウ~!オウ~!」と叫ぶ。だがK君もやられたままではいない。ケンジ君の羽交い絞めをふりほどいて反撃に出、代表の脳天を手刀で割る。代表は方膝ついて崩れつつK君を見上げる。その得意そうな顔を思い出した。

 同級生のほとんどは家が貧しく、様々な事情を抱え、みんな切ないもの悲しいものを背負って生きていた。中学校はそういった現実から逃れられる非日常空間だった。別の自分を演じた劇場だった。例えばプロレスはその劇場での楽しいショーだった。代表の右手に、K君のキンタマの生温い感触と成長期の汗臭さとがよみがえった。

 夜も更けて宴もたけなわとなり、酔った勢いか、すみちゃんが趣味のフラを披露してくれた。

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 天国の恋人への想いを表現したダンスということだったが、もしかしたら、わざわざケンジ君が顔を見せたのも、すみちゃんにこのダンスを舞わせたのも、神様がK君のために用意したものだったんじゃないかと思えたりもした。神様は時々そういうことをする。

 代表は、K君は星になったと思う。この日高塚山で見た満天星のひとつがK君だったと信じる。

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 ありがとうK君。遊んでもらったのは代表の方だった。
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