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仮設住宅の畳

 今月末で郡山のビッグパレット横の仮設住宅が取り壊しになる予定だそうで、そこに避難していた村民は、それぞれの住宅の中の物を持ち帰ってもよし、ということになったらしい。

 親父が、「畳を持ち帰りたい」という。親父の家の畳は去年新しくしたばかりだし、仮設住宅のは大きさがちがう(小さい)はずだから持ち帰ってもしょうがないと話したんだが、親父は他人のものを無理矢理横取りするようなことはことはないけれども、落ちている物は必ず拾うもらえる物は全部貰う余計な金は1円も出さないという性格だから「もってえねえべ。お前えのとこで使え。」といってきかない。「使わないよ」。「そんだったら畑の肥しにすっから」。いや、プラスチックの畳は畑の肥しにはならないからというと、「そんだったら燃す」と意地を張る。やり取りしててもきりがないから、本人が納得するならいいかとあきらめて、一緒に郡山まで付き合った。

 仮設住宅の鍵は、郡山市内に避難中の妹に預かってもらっているので、現場に来てもらった。

 そしたら、なに、住宅に入った途端に親父の目の色が変わって、畳どころの話ではなくガス台やら蛍光灯やら換気扇やらトイレの鏡や取っ手に至るまで、外せる物は全部引っぱがして、Kトラの荷台はこんなになった。

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 こんなもん使いもしないのに。なまじ置けるスペースがあるのと、常に親父の理性より欲望の方が勝つことによってこうなる。
 「まったエアコンがもってねえなー」と未練を見せていたが、冷媒ガスの入れ替えに1万円以上かかると脅かしたらあきらめた。出費にはとことん渋い親父だ。

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 それで川内村の家まで運んだらそれで満足。「お前んとこで使え!」といい残して、あとはほったらかし。かといって放っておくと文句いうし。つくづく理不尽だよなーと思いながらひとりで片付けた。

 仮設住宅の畳は小さい。団地サイズというものなのか、普通の畳と比べるとこんなにちがう。 重さは約3分の1くらい。

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 軽くて当然だ。発泡スチロールの板にプラスチックの筵を被せているだけだから。仮設住宅専用ということではなくて、こういう仕様の畳を使う住宅があって、それを使ったということだろうと思う。仮設住宅建設は時間が勝負だから、すぐに大量生産できる資材を使うことが最も合理的だった。それまでビッグパレットの、段ボールで仕切った囲いの中で我慢を重ねて暮らしていたわけだから、仮設住宅に入ったときにはみんなどんなにか嬉しかったろう。避難生活の苦労と涙を吸った小さなプラスチックの畳。感謝しないといけない。

 屋根裏の代表の部屋に敷いて和室にしてみた。 小さい6畳。

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 それぞれが歪んでしまって凸凹で平らになってくれないが、ひとつの記憶として、ここに大切に残しておきたい。

コメント

もったいない」
もったいないの精神ですね。
我々のふるさともお父上に倣って、大切にしたいんものです。
汚れたから捨てちゃうってのは悲しいです。
No title
八木沢さんの対応に心打たれました。
老人の心理を安定にするためには100%妥協することだと思いながらも、中々出来ません。八木沢さんに教えられました。

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