職美展2016

 全日本職場美術協議会は、全国の職場の美術クラブなどを束ねる団体だが、その年に一度の作品展が職美展。毎年この時期に上野の東京都美術館で開催されていて、今年は第70回目の力の入った記念の職美展となっていた。

 代表は、中学の同級生のノリオくんとノリちゃんと3人で行ってきた。真ん中はひとの駅かわうちオープン前からお世話になっているパッチワークはぎれの代表の中島幸子先生。

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 東京都美術館に到着すると長蛇の列で、入館まで4時間待ちの看板を持った職員が誘導するこれまでに混雑ぶりでビックリした。職美展も人気になったなーと感慨深かったが、その人たちは同じ東京都美術館で開催されていた伊藤若冲展に並んでいたのだった。職美展の方は行列もなくてスムーズに入れた。

 いつも感じることながら職美展は素晴らしい。画界のトップクラスの作家さんから、それこそ地域の絵画教室に通っているとか、仕事を引退して夫婦で共通の趣味にして制作を楽しんでいるとかいう人たちの作品が、ごちゃまぜに同じステージで観ることができる。技術とかテーマ性という観点でいえば、他の美術協会だったら、協会内の審査で落とされてこういうところに展示される機会は与えられないだろうと思われる作品もたしかにある。しかし、そういう作品にも「アートが好き」という気持ちがありありと現れていて、むしろ、熟練したプロフェッショナルの方たちよりも伝わってくるものが大きい気がする。描く方も観る方も楽しんだ者勝ち。そいういうことがわかる日本でただひとつの美術展。それが職美展だと思う。いやー今回も楽しかった。

 職美展を楽しんで健康的に空腹になった代表たちは、いつものようにアメ横方面に流れて、遅い昼食を食べながら昼酒を楽しんだ。
 いつもなら酒に強い同級生がいて遅くまで飲むんだが、今回は下戸3人だけだったので夕方前に解散。帰り道にマンスールさんの居酒屋上板橋の花門に寄るつもりだった代表は、時間をつぶすために池袋で下車した。

 自意識過剰の他人に無関心な人々の群れ。この状態を畑でいうとどういうことになるんだろう。雑多な種類の作物が無軌道無責任に生えた野菜ジャングル。それとも野菜青物市場みたいなところなんだろうか。

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 しかし自分も老けたよなーとつくづく感じた。こういう場所にあこがれた時代もあったが、今はまったく引力を感じない。物にあふれ、欲を満たすあらゆるモノがここにあるのに、欲しいと思うものがただのひとつもない。多くの人たちが行き交っているのに、魅力を感じる人がひとりもいない。わくわくドキドキ興奮するものがない。もうやりたいことをやり尽して、すべてに満ち足りて、摘んでしまった。道路脇の柵に猿のように腰かけて、ベッカーズの味のないアイスコーヒーを渇いた喉に流し込みながら、ああ、代表もいよいよ終わりのときなのかなーと思った。

 そこへ中学時代の恩師木幡先生からメールが届いた。「やっぱり川内はいいな。里がある。絵にしたくなるよね。」先生は川内村へスケッチ旅行に行っておられるらしかった。救われたと思い、そのまま一時間ほどかけて川内村のおすすめのスケッチスポットを紹介して返信した。

 花門に着いたのは19時。いつものようにマンスールさんがパフォマンス全開で歓迎してくれた。

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 マンスールさんの作品(料理)を楽しみ、焼酎のお湯割りをチビチビやりながら、まわりのお客さんも巻き込んで一時間あまり情報交換して、鶴田松盛さんからのプレゼントをいただいて帰った。プレゼントは代表が好きなアリュームの作品。

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 じつは、先月、同級生で鶴田さんの作品展に行ったとき、全員に作品をプレゼントしてくださったのだが、人数が多かったので作品が足りなくなった。それで、わざわざ描き直してマンスールさんに託してくださったのだった。

 広野町の作品展会場で黒と白だけで描かれたアリューム作品を観たとき、代表はいいようのない虚無感を感じ「絶対零度」というタイトルを進呈したのだが、これは黒と白を基調にして藍に近いブルーが加えられている。ブルー自体は冷たい色だが、黒と白の中では暖かく感じる。それは鶴田さんのアイの形でもあるのだろうと思った。
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