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アンドリュー・ワイエス展へ行く

埼玉県立近代美術館で12月12日までアンドリュー・ワイエス展が開催されている。代表は画集を持っているくらいワイエスが好きだ。なぜ好きかといえば、理由はいろいろあるけども、極論すれば写実的だから。画がうまくてわかりやすいからだ。しかし、それは間違いだった。

          【アンドリューワイエス作品 「クリスチーナの世界」】
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ひとの駅の美術スタッフのうーたんと出会ったころ、どういう画がよい画なのか議論(というか代表の素人質問にうーたんが応じてくれた)をした。代表は、本物に近い写真のような画がよい画だと主張した。それに対してうーたんは、表現形態はどうであれ本質を引き出した画がいい画なのであって、もし写真に近いのが良い画というなら画は写真を越えられない。そうではない、といった。そして、写真のように描かれたスーパーリアリズムの画を見せてくれた。代表は納得した。スーパーリアリズムには、そこに描かれているものがすべてで、想像の余地がなかったからだ。

しかし、アンドリュー・ワイエスの場合は、リアリズムの作家であっても、精神性が画に現れているために心に訴えるものがあり、それが代表の心を打つのだろうと思っていた。
違った。アンドリュー・ワイエスは抽象の作家だった。画家というよりイリュージョニストに近いとおもった。

      【アンドリュー・ワイエス 1917-2009】
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ワイエスの作品は、画集を見て受ける緻密な印象とまったく違う。まず描き込んでいない。「えっ!?こんなものなの?」というくらいあっさりしている。ワイエスを目標にしてワイエス的な画を描いている作家は多いが、ワイエスに比べたら描きすぎだとおもう。もうひとつ。画からうける静かさと違ってタッチはとても激しく荒々しい。スケッチの紙が鉛筆の筆圧でへこんだり波打ったりしている。水彩の絵の具を刃物の先のようなもので削ったり毛羽立たせたりしている。線も曲がっている。それが、2メートル離れると写真のようにみえてくる。魔術としか思えない。

ワイエスは物の本質だけを描き、見る者の想像力を引き出す。ワイエスが見た風景と鑑賞する者が想う風景とがシンクロして画と鑑賞者の間に新しい画をつくる。うーたんがいっていた「良い画」というのはこういうことだったんじゃないか。

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