川内村レポート その4(終わり)

 横溝森子さんに会ってきた。何回も「川内村にいつ来るの?」って電話があって、行ってもなかなか訪ねる時間が無くその度に言い訳してきたんだが、ようやく会えた。こんなたいへんなことがあったことは知らなかった。

 横溝森子さんからあずかった、今回のは「手記」です。

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『 癌
キーンとする冷たい空気。
その日の朝は霜で庭一面が真っ白になっていた。

自分の頭の中も真っ白だった。
口の中に腫瘍が見つかったから。
ザクザクと音を立てて崩れる霜柱が自分の体のように感じられた。

「病名は左側舌根部腫瘍です。」
コンピューターを操りながら病院の先生にそう告げられた。
入院と手術の日を決めて泣き泣き帰ってきた。

あの日から手術までの一週間、舌を無くした自分を想像し、本当に目の前が真っ暗だった。
どうしよう。どうしよう。どうしよう・・・・・・・。
眠れない。声も出ない。食事も喉を通らない。
自分が自分じゃなかった。

そして手術。それから一週間の結果待ち。
頭が変になりそうなのをようやく耐えた。

結果が出る日。気持ちをしっかり持てと自分に言い聞かせて、先生が口を開く瞬間を待った。
ぎゅっと握りしめた手は震えて汗でびっしょり。

「良性でしたよ。」
先生、私を見て、にっこり。

あー、助かった。
体中の力が・・・

あの時、もし「悪性です。」と告げられていたら私の精神状態はどうなっていただろう。
ガンは怖い。自分で経験して初めてわかった恐怖。

ガンが見つかった親しく付き合っていた友人がいる。
「私はガンでなくて良かった」と素直に喜ぶ気持ちにはなれない。
私は幸いだった。そういう気持ち。
これからは人の側を一緒に歩いて行けるような、そんな歳の取り方をしたい。
そういう生き方をしたい。 』

 癌が見つかった横溝森子さんの友だちは二人で、どちらも代表もよく知っている方だった。お二方とも環境や食べ物に人一倍気をつかって、震災後もいち早く川内村から避難したのだったが。肺癌だそうだ。こうして病気になってしまう人と罹らない人との分かれ目というのは一体どこなんだろうね。個人個人でちがうのだろうけど、よしんばその分岐がわかったにしても、人は自分の行きたい方にしか行けない。
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