川内村レポート その2

 書いたままで公開するのを忘れていた。

 川内村でのもうひとつの用事は義父に会いに行くことだった。ひとの駅撤収の顛末をまだきちんと報告していなかった。義父の家はひとの駅のすぐ下で、代表の家からは車で15分足らずの距離だから行こうと思えばすぐに行けるんだが、タイミングが悪かったりして今になってしまった。

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 「やめることになってかえって良かったんじゃないか」と義父は言った。ひとの駅の話だが、そこには代表と義父にしかわからない様々な意味が含まれる。

 代表には、ひとの駅かわうちのように他に真似のできない交流拠点がこの地域に必要なんだという強い想いがあった。また、続ければそれなりに注目を集めるものにできるという自信もあったし、続けば続くほど存在価値が増すはずでもあった。

 が、心配もあった。こういうことは建物があればいいというものではない。人が重要なのである。代表がいて夢や希望を語っても、その後代表を引き継ぐ馬鹿者が続くという保証はなかった。建物の老朽化に対しては修繕していけばいいけれども、人の問題はそうはいかない。ということは、いずれは廃れる運命にあったのかもしれない。

 義父は「報われないもんだ。」とも言った。義父は村議会議員として地域の道を整備したり川内村の観光開発に尽力してずいぶん成果を上げたが、お礼の言葉をもらえた記憶がないという。「そういうもんだべ」と。誰かのためになんていうのは嘘で、全部自分のためにしたこと。自分の想いに従ってやるだけやって自分の考えで退くというのが最高っちゅうものだ、と。

 そうだよなー。ひとの駅では代表が一番苦労もして一番楽しんだ。そして、自分の手でけじめを付けられた。最高だったというべきだろう。

 「ところで義父ちゃん、」代表は気になっていることを聞いた。「なんで息子を村議に立候補させだんだい?」

 政治家というものに裏切られたり苦労させられた人は少なくないだろう。選挙前だけ調子のいいことを言って、当選したら自分の利害しか考えない政治家がほとんどだ。代表の家もそうだし、代表の義弟、すなわち義父ちゃんの息子も政治家が嫌いで、親の地盤を継ぐようなことは絶対にないと断言していたのだったが、急に先の村議会議員選挙に立候補して、代表の妹も「政治家にはならないと結婚するときに約束したのに!離婚だ!」というような話になって代表も心配したわけだ。義父義母の家系は政治家が多いから無理矢理義父がそうさせたんだろうと思った。本人に直接聞けばいい話なんだが、たぶんふてくされていて話したがらないだろうと想像して義父に確認したのだった。

 ところが、意外や意外本人の意思だったらしい。「え”ー!?」。義父は選挙のことは一言も口にしなかったんだと。義母の方は反対したらしい。血と言って片付けることもできるが、あんだけ嫌っていた政治家に、しかも地盤を失ってかなり不利な状況での決意にはよほどのことがあったにちがいない。そこは義父義母も知らないみたいだった。本人に今度会ったときに聞かないといけないが、新事実として、離婚だとメールしてきた妹も一生懸命になって挨拶回りなんかして票集めに動いたらしい。これも開き直ると強さを発揮する血と言えなくもないが、「え”ー!?」だった。二人は自分の想いに従ったってことかもしれないが、すでに政治家的だと思った。
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