監督

コンビニでコーヒーを買って、踏み切りを渡って東洋大学グランドまで歩くと、コーヒーは少し冷める。先客に挨拶し、程々の距離を取ってベンチに座り、温くなったコーヒーをちびりちびり喉に流しながら野球部の練習を眺める。これが今の代表の一番の贅沢。

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選手やコーチの姿とボールを打ったり捕球するときの音があるだけで、BGMも解説もない。素材の芯に塩をふっただけのサラダのような野球。監督の姿は見えず、声だけがスピーカーから流れてくる。

「死ぬ気でやれ!」「逃げるな!」「考えろ!」「わかんねぇな!」「頭悪いな!」「体力がない!」「お前はいらない!」「使わない!」「野球をやる体型じゃない。痩せて来い!」「野球やめて勉強しろ!」

闘争心をかきたてる、小木ママあたりが聞いたら卒倒しそうな過激な言葉が次から次に浴びせられる。ちょっとでも気を抜いたりミスしたりしたら怒鳴られる。

気が付くと、代表や観客は監督の言葉に頷いている。「死ぬ気でやれ!」「逃げるな!」「考えろ!」「頭悪いな!」・・・。それらを自分への戒めとして聞いている。どやされながら頑張っている若者の姿を、身代わりとして見ている。
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