退院は孫の車に乗って

 昨日は、会社の帰りに、長女が使っていた冷蔵庫を川内村から運んで家内の親父さんのところに届けて、そのあとみんなで親父さんを囲んで食事した。

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 家内の親父さんは83歳。親父とひとつしかちがわない。はやく連れ合いをなくしたのも何度も瀕死状態から復活して際どい人生を送ってきたところも代表の親父と同じ。代表の3人の子どもたちは両方の血を引いているのでどうなるかとっても心配だ。

 それでは昨日のつづきです。
 見舞いに行く前日に、「聞いてほしいことがある」という携帯メールが妹から届いた。何事かと思ったが、親父の「退院したい」攻撃を見越した作戦会議の提案だった。見舞いの当日、郡山の駅ビルの食堂で昼ご飯を食べながら妹が話すには、「まず、父ちゃんを叱らないで、ほめてやって」と言うのだった。きっと代表のブログをチェックして「あんちゃんが父ちゃんを怒る」と心配したのであろう。

 それから、「父ちゃんが退院したいと言い出したからには抑えることは無理だから、杖とかベッドとかを買って、自宅でリハビリできるようにしてやりたい」っていうことだった。妹には<もう二度と父ちゃんにケガはさせない!>という気迫が漲り全身から湯気が立っている感じだった。親父想いの妹だ。

 駅ビルの食堂から、長女がリクエストした菊屋茶舗へと場所を変えて、3人で食後のデザートの抹茶アイスをなめながら、「あんまり甘やかしては良ぐねでねが?」と代表は言ってみた。

 代表にしても、60年にわたる長い親父との確執の歴史の中で、代表なりに親父の良いところも弱点も把握しているつもりなのである。親父は調子者で、おだてられれば木に登り、反面、鼻っ柱が強くて相手に強く出られると反発するタイプだというのをよーく知っている。生まれついての習性というのは終生変わらない。それだから、ほめるのはいいけれども、調子付かせたらわがままし放題で手がつけられなくなる恐れがある。またケガをしかねない。代表的にはそこをきちんと押さえたかった。

 それから、ここぞというときに親父をコントロールする駆け引きの術というか、肝というべきものがある。が、それを使えるのは長男の代表だけだ。だから代表に任せろと、そう言いたかったんだが、アイスをなめ終わるまでに妹を納得させられなかった。とにかく、親父の状態を見てからあとはアドリブで行くことにして、病院に向かった。そうしたら、親父が腹筋運動をしたというわけだった。

 親父のパフォーマンスはひとまず置いて、肝心の病院側の見解は、病院側としては基本的な治療は終わったので、次はリハビリの段階になるが、そのためにはリハビリ専門の施設に転院しないといけないとのことだった。良好な回復状態から、リハビリ期間もそんなに長くならないだろうと思われるので、もし自宅でリハビリができるような環境なら、あと数日くらいで直接自宅に帰ってもよいだろう、という判断だった。たまたま長女が居合わせて、ケガをしたすぐ後に救急隊が処置してくれて、偶然にも妹が住んでいる近くの病院に運ばれて、病院の治療も適切でと、全部うまいこと重なってくれた。年齢を考えれば、親父の気力と体力もたいしたものだった。

 有頂天になった親父は予想通り興奮して「おれは仕事がリハビリだ。畑が待っでる。すぐに連れで帰れ!」くらいの調子で、妹の方は、せめて自分が仕事を休める3、4日後くらいのタイミングで説き伏せようと躍起になっていた。

 代表は言った。「いいよ、好きなときに退院して。」と。親父の顔が喜びで緩むのがわかった。まず、この、一回親父を喜ばせテレッと弛緩させるというのが大事なのである。そのあと、命令とか要望の形ではなく、自分の頭で考えられるようにうまく誘導するところが肝なのである。「そのかわり、これ以上迷惑かけるようだったらば、もうだーれも面倒みでくれなぐなっと思うど。」沈黙する親父。

 ついで、代表が小学校6年生の冬にスキーで左足首を骨折し、完治しないまま中学校でクラブ活動を始めたために後遺症が残ってどれだけ苦しんだか、とか。5月に友だちの電気工事屋のヒサシ君が、バレーボールの練習中に大腿骨を折って、無理して仕事を始めたもんだからまだ足が曲げられないこととか、はとこのハヤト君がアキレス腱を断裂したのは親父より前だったのにまだ松葉杖だのの例を出して、今骨折が流行っている。骨折を完全に治しておかないと後々祟るんだぞ、とほのめかした。そうしておいて、早いの遅いのって言ったってたった2日とか3日の差なんだから。あと少し我慢して様子をみてからにしたらどうなんだい?と親父に投げてみた。そうしたら、「・・・んだな。そうすっか。んじゃ、来週の日曜にすっぺ。」と自分から口にした。(勝った。)

 ちょうどそこへ妹の嫁ぎ先の義父ちゃんと義母ちゃんも見舞いに来てくれて

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 「人間は、大事にすっとぎは大事にして、あどは自分に厳しくして、身体を動かしてねえどだめだ。甘えでゴロゴロしてっとかえって体調が悪ぐなるもんだ。」とか、「リハビリに必要な器具は村の方で面倒みてくれるし、補助も出っから。困ったら役場に相談すればいい。」と言って後押ししてくれたので、親父も落ち着き、妹も安心できて、長女もバイトが休みの日で退院に付き合えるということで、減点ゼロのバランスのいい着地ができたのだった。

 そういうわけで、親父は、今度の日曜日に、長女のライフに乗せられて川内村に帰ることになりました。ご心配くださったみなさん、どうもありがとうございました。
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コメント

ご退院おめでとうございます
驚異的な回復力ですね。私もあやかりたいものです。
ご退院おめでとうございます
驚異的な回復力ですね。私もあやかりたいものです。
お変りありませんか?親父にあるのは無神経な負けん気だけです。田中さんは素晴らしい才能と感受性をお持ちです。どっちを選ぶか、ではないでしょうか。

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