イベントのノベルティ

 今日まで有明の東京ビッグサイトで『オートモーティブワールド2015』という、車やEV関連技術の展示商談会が開催されていたが、代表も車の技術には興味があり毎年行っているので、先日出かけてみた。

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 素晴らしいねー日本のものづくりの底力は。一時期進展国を中心にコピー商品をそこそこのレベルで安くたくさんつくってうりさばいてトラブルが出たら逃げるというやり方が増え、最近(代表が1980年代に予想した通り)破綻の兆しが見えているが、永続的に良心的な製品をきちっとつくるという点ではやっぱり日本が世界一だ。

 代表は、こういう見本市に行ったとき、技術の進歩にももちろん興味があるが、各ブースで無料で配られるノベルティにも注目している。たかがノベルティというなかれ。それには会社の姿というものがくっきりと投影されているものなのである。
 まあ、ほとんどの会社のノベルティは社名を刷った紙袋とかボールペンとかメモ用紙だ。市販の缶やペットボトルのジュースとかお菓子で済ます会社もある。代表はそういうのは受け取らない。荷物になるだけだもん。

 代表がいつも感心させられるのは自転車型ロボットのムラタセイサク君で有名な村田製作所だ。ここは毎度毎度工夫を凝らした愉快なノベルティを作る。ノベルティと言い条まったく手を抜かない。今年配っていたのはこのポストイットセットだった。遊びでムラタセイサク君をつくってしまった会社らしい、ユニークなノベルティなのであった。

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 台紙に一本の線で丘が描かれ、その坂を自転車に乗ったムラタセイサク君とムラタセイコちゃんが登っている。

 それぞれがプラスチックの小さな長方形のかわいいパッケージになっていて、中にポストイットが入っている。

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 手帳とか本に貼れるようになっていて、必要なときにポストイットを引っ張り出して使うという趣向だが、ポストイットは、紙のように汚れたり丸まったりしない半透明の良質のプラスチックシートに弱い粘着剤が塗布してあるものなので、剥がしてまた貼ってと、何回も使える。使うにストレスがなく、また、エコなのである。

 どう考えてもこのポストイット、後からパッケージに入れることはできない。ということは、袋をつくるときに、上側と下側の間にポストイットを閉じ込めてから接合したのであろう。そのとき、最初の一枚の端っこの部分を口から出しておかないと引っ張り出せなくなるので、最初の一枚をつまみ出して接合したはずなのだ。この作業、たぶんひとつひとつ手でやったのだろうと代表には想像される。こういった作業をオートメーション化するのは難しいのだ。たいへんに手間がかかっている。

 手間がかかっているのはそこだけではない。台紙からムラタセイサク君とムラタセイコちゃんを剥がすと、その下からムラタセイサク君とムラタセイコちゃんの可愛いイラストがでてくるのだ。

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 微笑ましくて思わず笑いが出てしまったが、最初の写真を見るとわかるけど、ポストイットのパッケージのムラタセイサク君とムラタセイコちゃんがイラストの二台(二人か?)がイラストを隠してぴったり重なっている。丘の線までが合っている。これもやっぱりオートメーション化するのは難しい。手作業でひとつひとつ線を合わせながら貼っているんだと思う。

 ふつうこういう面倒なことはしない。ズレても問題ないようにイラストをうんと小さくしたり、丘の形をぼやかしたりの小細工をするのが、一般的な工業デザインであり技術というものだ。それができるから大企業になれるのである。それなのに村田製作所は、こんな小さなノベルティに会社の総知総力、アイディアと技術とユーモアとサービス精神と組織の勢い、ものづくりに対する良心といったものを注ぎ込んでいる。あえて合理性を捨てて、楽しさを何層にも重ねることに挑戦ている。おかしな会社だ。だが、村田製作所の心意気に代表は心底感動した。本業の製品にも感動したのはいうまでもない。

 いやー今年はいいものを手に入れることができた。一生ものだ。このポストイットを見るたび技術屋の原点に立ち返ることができる。わざわざ有明まで行ったかいがあったというものだ。

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 このポストイットがほしい人は、村田製作所のブースまで急いでください・・・といいたいところだが、今年のオートモーティブワールドは今日が最終日だった。また来年のムラタセイサク君に期待してください。ほかの出展社にも頑張っていただきたいものだね。
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コメント

そういう催しがあったんですね、知りませんでした。
東京にいる人は有利だと思います。
やっぱり日本は科学技術立国で行くしかないですよね。
これは面白いのでおすすめです。どんなに当たり前に見える技術、製品でも、技術者に直接話を聞いてみるといいです。とんでもない深い話が聞けますよ。

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