イタリアから川内村経由東京

 年代物の木箱に入った怪しげな物体。

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 ひんやり冷たくて固く、指に力をこめて押し続けると、じわーっとへこむ。バターみたいである。が、バターにしては相当重い。全部で30キロはあると思う。これなんだ?

答えは・・・
 粘土。

しかも、イタリア産の高級品。鋳金家の斉藤勝美さんが生前使用していた道具類のいくつかを、代表がうーたんから譲り受けたものの中にあったひとつだ。代表は粘土よりも粘土が入っている木箱が気に入って、インテリアとして川内村の家の玄関部分に他の骨董品と並べて置いていた。

 この木箱、元々粘土用ではない。会津のみしらず柿をうーたんのお母様の実家から斉藤勝美さんのところに送ったときに容器として使われたものみたいで、かすかに双方の住所と名前とを墨で綴った跡が残っている。天皇陛下への献上品にもなっている珊瑚のように美しくて美味しい会津の代表的名産品を、大切な人に贈りたいという気持ちの結晶みたいに思えて、代表にとっても意味のある木箱になっていた。おそらく斉藤勝美さんも、そういう気持ちで大事な粘土を入れて傍らに置いていたんではないかなと想像する。

 ちょっと前。マンスールさんの居酒屋『花門』でうーたんと飲んでいたとき、マンスールさんが、マンスールさんは絵画だけでなく立体も制作するのだが、「持っている粘土が少なくて(両手で包むしぐさをして)こんな小さい作品しかできないんだよ」と話した。祖型づくりに適した質の良い粘土ってなかなか手に入らないらしく、値段も相当高いらしい。特に肌理が細かいイタリア製というのは最高級で、オークションで高値で取引されているということだった。

 「粘土、あったじゃん!」「あったねー」「あるの?!」。
 
 「あげたら!?」「ほしい?」「ほしい!」ということになった。

 しかし、とにかく重いもんだから、なかなか運ぶ気にならなくて、マンスールさんを散々焦らして、先週ようやく運んできた。

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 マンスールさん大喜び。

 会津から東京へ送られた木箱と一緒に東京から川内村に運ばれたはるばるイタリアから海を渡って来た粘土は、再び軽トラに揺られて東京にもどって、イラン生まれのマンスールさんのアトリエに落ち着いた、というわけだ。

 代表の家の重しになるよりもマンスールさんの作品になった方が斉藤勝美さんも粘土も木箱も喜んでくれるだろう。時間と空間の長旅をしてきた粘土の、ここが終点。

 マンスールさん、「うーたんに粘土と同じ重さ分の料理をご馳走したい。」って言ってた。
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