敗北感を味わった週末

 自分で言うのも気が引けるけど、代表は慎重な方だ。何かやる場合に、これが失敗したら次はこうしよう、それが失敗だったらああしようと、3手先くらいは考える。

 そこまで周到に進めてもできないときもある。自分のことだったらそれくらいにしておく。頼まれ事を引き受けた場合は、意地でもやる。だから、これまでの人生で、まったくやっていませんでした、ということはなかったと思う。もちろん、できないことは最初からお断りするが。

 今だから言うんだが、2012年冬に、マンスールさんのチャリティ展のための額作りを引き受けたときも、川内村に通って作業して、最後の1週間は会社を休んで仕上げた。代表の家は3ヶ月間工場だった。受けた以上それくらいのことはやった。

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 しかし、その仕上がりはよろしくなくて、「白い木の色が素晴らしい」とか「素朴な感じがする」とかの評価をを頂いたのだが、それがなぐさめだということは感じていたし、客観的に見てとてもマンスールさんの作品に見合うものではなかった。
 枠をつなぐのに無頭釘と接着剤とを使おうとしたがうまくいかず、外から木ネジを使ったためにネジが見えてしまったのと、ホームセンターで購入した木材は生木だったため、精度が出せなかったのもあるが、乾燥するとともに歪んでしまったのだった。

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 だから、もう額制作の依頼は来ないと考えていた。しかし、個人的に「こうすればよかった」と思ったことを確かめたかったので、溝を削る機械やボール盤を手に入れたり、材料を買って乾燥させておいたりした。なかなかその時は来なかった。

 そころが、今年になって、6月に個展をやるので額を40個あまり作ってほしいという話があった。前回の汚名挽回のチャンスが巡ってきたと思って二つ返事で引き受けた。

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 ところが、マンスールさんから新たな注文がでた。ネジを見えなくすることはもちろん枠の幅を広くしたいということだった。やはりマンスールさんにとっても前回の額は満足できるものではなかったのだろう。

 ホームセンターで材料を探したのだが、使えそうなのがない。鶴田さんにそのことを話したら枠を二重にすれば良いというアイディアをいただいた。マンスールさんにどうかと聞くと、見てみないとなんとも言えないということだったので、いくつかのパターンを試作してみようとことになった。

 二重にするということは、材料も作る工数も2倍ななるということ。外枠のための加工治具もつくらないといけない。いくつかのパターンをつくることになると、それ用の治具も必要になるのでたいへんな事になったな、と思っていた。でも、前回の経験もあることだし、頑張ればなんとかなると踏んでいた。

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 それなのに、ここにきて代表が住んでいる団地の役員の仕事が回ってきた。これがまた大変で、必ず月に2回は役員の会合があって、その他に委員会の会合をやらないといけない。5月末に総会があるためにこれから毎週のように会議なのである。額を作ろうと考えていたのとばっちり同じタイミングなのだった。

 なんとかできないものかとうんうん悩んだが、これはどうやっても無理だと観念した。頑張ってどうにかなるレベルの話ではない。もっと迷惑をかけることになる。額作りか、額作り以外の事か、どちらかを選択するしかない。

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 どっちも大事だが、団地の役員の仕事を放擲するわけにはいかない。代表はマンスールさんに断りの連絡をした。どんな理由であれ、男が一度引き受けたことを断るのは敗北だ。もうチャンスは訪れないかもしれないと思うと、楽観的な代表も暗くなるのだった。
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コメント

私が持っている額は40枚あり、大きさと数量を書いた額一覧表をマンスールに送りました。会場の大きさからして、30枚展示が限界ですから、私の額に合わせればもんだいないはずです。マンスールも額を付けずにキャンバスだけで送れるので、梱包、運送料など格安になります。私の方は仕事が増えて大変ですが、いろんな人に応援を頼んで対応したいと考えています。安心してください。
鶴田さん、ご迷惑をかけてしまい、たいへん申し訳ありません。団地の役員が回ってきたのが計算外でした。また、マンスールさんのご希望がわかりましたので、次回は応えられるように準備しておきます。

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