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代表の新しい軽トラ その5・・・軽トラから学ぶ資本主義

 こんなところにこんなダイヤルがKトラにはある。Qトラにはない。何に使うかわからないでしょう?代表もわからなかった。

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 これは、ヘッドライトの光軸を下向きに変えるダイヤルなんだって。つまりハイビームの逆。

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 なんでこんなものが付いたかというと・・・
 荷台に荷物を積んだときに(前輪と後輪の距離が長いもんだから)車の後ろ側だけ下がるという現象が起きて、するとヘッドライトが上向きになってしまって対向車がまぶしいので、迷惑にならないように、光を下に向けるためらしい。微妙な角度調整ができるように3段階になっている。左右同じ角度で下に動かして、またもとの位置まで正確にもどすためにはハイレベルの技術が必要だ。見えるのは小さなダイヤルだけなんだが、中味にはけっこうなコストがかかっていると思う。それでいて売価はあんまり高くなっていない。

 「便利だ」と受け取る人もいれば、「そこまでやらなくても」と否定的に見る人もいるだろう。「良心的だ」なんて感心してくれる人もいるかもしれない。代表は、付いた理由や効果はどうであれ、技術としては革新的だと思った。良いものを安く造るのも革新技術なのである。

 メーカー間の競争は熾烈だ。まさに生存競争そのもの。こういう細かいことまでやって需要を喚起しつづけていかないとすぐに負け組になってしまう。代表がQトラとKトラをいっしょに磨きながら小さな変化点を確かめつつ「頑張ってるなぁ」と感心させられたのだった。

 しかし、絶え間なく技術革新を求めつづけられるメーカーと、期待に応えようと必死になっている社員の存在の気配に、メーカーで働く技術屋としてちょっと同情もしたのだった。それから、その宿命的なもの。もう少しさかのぼったところでいうと、資本主義社会の矛盾というか、資本に根ざした社会システムの業みたいなものについて考えないわけにはいかなかった。

 代表は経済学を専門に勉強したわけではないので経済の用語も知らないし原理も知らない。株式の仕組みさえわかっていない。けれども、資本主義の大雑把な骨格みたいなものはボンヤリわかる。また、その流れというか、周期とかパターンといったものも感じることができる。

 それくらいのレベルなんだが、そんな代表がイメージする資本主義というのは、既存の価値と技術革新が生み出す価値の差の超過利潤(相対的剰余価値)によって取引するという、価値の差に根ざした社会システムのことなんだろうと思っている。それゆえ、価値の差を生み出すために、絶えず技術革新が求められるのだろうと。

 もし技術革新が停滞すれば、経済学でいうところのゼロ・サム・ゲームになることも知っている。これは、限られたパイを分け合う社会のこと。利益を独占する勝ち組と搾取される負け組に二分されるか、あるいは、利益を平等に分配して全員が貧乏になるかのどちらかしかないモデル。麻雀ゲームと同じだ。点棒が増えるわけではないので、必ず勝つ人と負ける人ができる。

 技術革新が完全に止まれば資本主義は崩壊する。この状態を恐慌という。

 つまり、技術革新をしながら常に決済を先送りする自転車操業。それが代表が考える資本主義だ。ヘッドライトの光を下向きに変える代表のKトラの小さなダイヤルも、資本主義社会を支える革新技術のひとつなわけだね。

 資本を生み出す手法は技術だけではない。価値を生めばなんでもいいんだ。たとえば、歴史上、「奴隷」や「植民地」や「戦争による強奪」で資本をつくったイギリスやアメリカの例がある。現在はそういう手段がつかえないので、規制緩和やTPPという局所的戦争、間接的植民地化により資本を吸い上げるやりかたに変わってきている。が、やはり産業界の革新技術による価値創出に頼った産業資本主義というのが主体ではある。

 とにかく今の世界、共産主義だろうが社会主義だろうが、孤島で気ままに暮らす人から遥か山上に住む仙人まで含めて、産業資本主義の網にからまっていない人はいない。なんらかの関係がある。

 アベノミクスというのは、国が経済市場に介入までして強制的にそっち方面に向かわせるというやり方で、国家統制主義と呼んでもいい。戦争前などに見られる政策だ。

 「革新技術で資本を生み出しつづければ幸福な未来が来る」という前提の国家統制主義下の産業資本主義は、失敗した場合、その反動として「将来に投資するのはイヤだ」という勢力が台頭することになっている。「今だけ自分だけが幸せならそれでいい」という人たち。政治的にはファシストと呼ばれる。第二次世界大戦中のドイツと同じだ。あのときのドイツ国民は、民主的な選挙でナチスとヒットラーを支持し、じっさい幸福の幻想に酔った。

 しかし、なのである。産業資本主義というのは歴史上必ず破綻したものらしい。
なぜか?理由はたったひとつ。技術革新が期待値に追いつかなくなるから。技術革新で資本を生みつづけることはできなかったってことだ。

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 その結論を知っている歴史家とか経済学者たちが「アベノミクスは必ず失敗する」と躍起になって警鐘を鳴らしているわけで、それはそのとおりになると代表も思う。将来日本発の世界恐慌が必ず起こり、もしかするとそのあとでドイツのようになる。そんな雰囲気がないでもない。

 戦争なんていうものは、さあやるぞよーいドンで始まるのではなく、太平洋の果てでポッコーンとひとつ水柱が立って、それが合図になるんだって爺さまが言っていた。次の戦争もきっとそんなもんだろう。

 そういう未来を回避するために、日本はどうすればいいんだろうか?エンジニアにもっと頑張ってもらって革新技術を生み出しつづけてもらえば、資本(価値や富)を産み出しつづけられるのだろうか?歴史と経済原理を覆せるのだろうか?可能性はあると思う。たとえば山中教授のiPS細胞などはすごい資本をつくるだろう。だが、iPS細胞ランクの発明はそうたくさんはつづかないだろう。

 そこで代表は、産業資本主義と並存する『芸術資本主義』というものを新しく提唱したい。読んで字の如く、芸術を資本にして技術革新の不足分を補えばいいんじゃないの?という発想だ。新しい価値を創造するということにおいては芸術も技術もまったく同じ。どっちも可能性は無限だ。ちがいといえば、競争の中で相対的数学的に価値が決まる技術に対して、芸術の価値は直感と希少性と物語性で感覚的に決まるということか。でも、なんとかなる気がする。

 ずいぶん前、代表はブログで『科学で滅びないために芸術がある』という、哲学者ニーチェの言葉を紹介したことがあった。

 あのとき「人間が、豊かに生きるために必要なのは、知識やお金や五感で満たされるものだけではない。それ以上の何か、つまり感動が必要なのではないか。感動する心、感受性、これが必要なのではないだろうか。その感受性を磨くためには、芸術の魅力に触れるのが一番だと、代表は思う。」と、ニーチェの言葉を理解したのだった。

 けれども今、もうひとつの意味が隠れていたことに気がついた。つまり、「科学技術だけでは資本を増やしつづけられないが、芸術があるじゃないか。芸術で価値を創造しなさいよ。さすれば争って滅ばなくてすむぞ。』と。

 いやー、とんでもなく脱線した。何が言いたいのかわからなくなってしまった。

 代表のQトラKトラが生産終了になったあと、アクティトラック4代目(Eトラと呼ぶ:良い軽トラの意味)は、2009年に誕生した。

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 QトラKトラの前輪と後輪が離れていたために狭いあぜ道で曲がりにくかったり荷物を積んだときに後ろだけ沈むという欠点を解決するため、Eトラは前輪と後輪の距離を短くした。QトラKトラが2420ミリメートルだったのに、520ミリメートルも縮めて1900ミリメートルにしたのだ。これは、評判が良かった2代目の長さとまったく同じ。QトラKトラの悪評は過去のものとなった。

 なぜ4代目はそんなに短くできたのか。前輪から飛び出た運転席の衝突安全性が、革新技術で解決できたからだ。飛び出た運転席の部分に10年の血と汗と涙の結晶の革新技術がテンコ盛りになっているように見える。その技術というのは・・・もういっか(笑)。興味がある方はホンダの販売店で聞いてください。

 早い話、代表のQトラKトラは、たかが中古の軽自動車なんだけど、技術革新によって新しい資本を創造し続けようという熱い想いと、歴史と世界の関係性のすべてとが凝縮された塊なんだというのをわかっていただきたかった。車だけじゃなくて紙コップでもティッシュでも身の回りの工業製品は全部そうなので、代表のような見方比較をして妄想してもらえると何倍も楽しんでいただけると思います。おわり!

コメント

リンゴジュース
メトロポリタン美術館のコレクションに、Cider making という作品がありますが、この絵は人々にリンゴジュースというものの存在を示し、その消費や製造を促すことによって産業発展に貢献したかもしれませんね。
芸術が価値を創造した1例と言えるかも知れません。

http://www.metmuseum.org/Collections/search-the-collections/11619?high=on&rpp=15&pg=1&rndkey=20140116&ft=*&deptids=2&pos=6
いい絵ですね。わたしはこういう風物を描いた絵が好きです。芸術が生活や産業と直結していたんですかね。
時代性なのか、昔の絵には必ず人物が描かれていますが、モネの睡蓮みたいな、人気のないただの景色を描くようになったのっていつ頃からなんでしょう。

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