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置物としてのタブレット

 代表の実家の玄関。親父が好きな物を好きなように置いていて、もう何年間もこの景色は変わっていなかったんだが・・・、あれ?なんか違うぞ!と思って、よーく見たら奥の方にタブレット(矢印)があった。

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 「買ったのが?」って親父に聞いたら、「役場が配ったんだ」と言う。「使ってんの?」とも聞いてみたが、「ほんなもの使えねぇ」という返事。いちおう「コレって何だがわがる?」って聞いてみたら、「わがんねぇわい!」と威張っていた。

 使い方の講習会のようなこともやられていないそうだ。説明書はあるが、なんせ親父世代には用語がチンプンカンプンだし、ローマ字も読めないから何年眺めてたって使える日は来ないだろう。テレビとDVDの結線でさえ苦労するくらいだもの、そりゃー無理だわ。電気釜のスイッチさえ触れない人がいるというのに、タブレットを配っただけで終わりというのは捨てたも同然だ。こうして飾ってあるだけマシってものだろう。

 こうなることがわかっていながら、ついに売り込みに成功したんだなー某電話会社のA氏は、と代表は思った。復興支援の美名の下、代表もタブレット販売に加担させられそうになったことを思い出したからだ。
 「某電話会社の人に会って欲しい」という連絡が、役場の復興対策部門からあったのは、震災の年の6月だったと思う。何事かと思い、わざわざ郡山市のビッグパレットまででかけて某電話会社エリア営業責任者のA氏に会ったんだが、なんのことはない、新しく発売するタブレット端末を自治体に売り込みたいので、代表から役場に話してほしいということだった。

 最初、「避難してバラバラになった人たちをつなぐコミュニケーションツールで、私どもが力になりたい」と切り出したので、「なるほど、ハイハイ、それは素晴らしい」と代表も真剣に聞いていた。ところが、どーも話がおかしい。避難民に無料でタブレットを提供でもしてくれるのかと思えば、通常の販売だという。回線使用料も有料。

 それなら、避難中の人たちをつなぐために有効なコンテンツでも用意しているのか?と聞いても、それもユーザーまかせだと言う。

 ならば、高齢者やモバイルツールに不慣れな人たちへのサポートはどうするのか?と問うと、特別なことは考えていない、と言った。

 あれれ?代表の頭がおかしくなったのかな?それじゃ、どこが支援なんだい?それって、もしかして、自分たちの商売を支援と呼び変えているだけじゃないの?代表が関わる話じゃないんじゃない?

 鈍い代表もようやく気がついた。ふつうの商売よりもっとたちが悪かった。支援だと吹聴して相手が断りにくい心理を突いた詐欺商法に近い。落ち着き無く目を逸らしながら「川内村が大好きです」なんて話し続けるA氏の顔を見ているうちに腹が立ってきた。口には出さなかったが「チンケな商売を考えやがってー。」と心の中で思った。

 しかし、もう代表は大人だ。ご提案を丁寧にお断りして、もしあなた方が、端末を100台くらい寄付してくれて通信料を無料にしてくれたら、それを活用して被災者中心の情報交換の場づくりは可能だと思いますよ、と逆提案してみた。そういうのが支援というものじゃないですか?と。検討して返事します、ということだったが、未だに連絡はない。

 あの頃、代表のところにはこの手の話がたくさん来た。たとえば、自分探しのボランティア。得体の知れない団体。ボランティア団体や復興事業を紹介するNPOだとかブローカーの類。平和を祈って手をつなぎたいので場所を提供してほしい、なんていうのまであったんだよ。結局、被災地の為というよりは自分のため、被災地の復旧復興よりも商売優先という場合がほとんどだったように思う。

 今、このタブレットを見ていると、代表のゆで卵のような頭の中に、アッカンベーしているA氏の顔が浮かんでくる。いつか天罰が下るにちがいない。

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 よかったよー。こんな置物の販売に手を染めなくて。

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